Just a Reminder

記憶の吐き出し口として、やや長めの作文のような備忘録。

場所に記憶を埋め込む(2)

世間様的にはお盆の時期の今日。私は、普段からよく使うフリースペースに来ている。

 

ここは私のセカンドハウス。

家に“パブリック・スペース”しか持たない私にとっては尚更ありがたみが増す。

 

北向きについた窓から外を見ると、もくもくとした線上の雲が並んでいる。どんよりとした天気とでも表現されそうな、そんな天気。

今日は空が近い。

 

中には、四面を囲むように天井まで伸びる本棚と、私が後何回か人生を繰り返したとしても読みきれないだろう分厚い本たち。

 

harman の古いスピーカーからはアイドルの曲が流れ続け、この辺りの情緒の無さが際立つ。

外から聞こえるアブラゼミのけたたましい鳴き声に、ヒグラシのアクセントが終わり往く夏を感じる。

 

そんな場所。

 

 

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この場所を使い始めたのは、2年前の春先からである。

 

ここの特性上、年度が変わるごとに出入りするメンバーも少しずつ変化する。

私自身(順調に生きていけば)今年1年でこの場所とはお別れ。そんなことを考えると、どうしても感傷に浸ってしまうものだ。

 

2年前、初めてここにやって来た時、私はどんな思いだったのだろう。その時には誰がいた?何をしていた?

今となっては思い出せないことばかり。

 

あの頃出会った人たちと、僅かながら今も付き合いを続けている。

いつまで持つか分からないその人たちとの仲を、最大限大切にしていかねば・・・自戒を込めて。

 

今後、私がいなくなってから、この場所は誰がどのように管理していくのだろう。

そもそもこの至福のスペースは今後もずっと残り続けるのだろうか。

 

 

このスペースにも、

私自身にも、

少しずつ終わりの時が近付いている。

 

 

当たらないで欲しい。せめてこのスペースは残って欲しい。そしてこれからも多くの人に些細な幸福を提供しあえる空間としてあって欲しい。

 

そう思う一方で、

私とともに葬られても良いのでは。

こんな気持ちも見え隠れする。

 

2年前の春、意気揚々とここで語り合った。

2年前の夏、ここで知り合った人たちと室内流しそうめんを行った。

2年前の秋、少し増えたメンバーを見ながら、片隅で勉強していた。

1年前にかけての冬、クリスマス鍋パーティーをした。昼間からお酒を呑んで宴をしたこともあった。

1年前の春、大切な人たちが旅立っていった。悲しくてYouTubeから大音量のアイドル曲を流しつつ泣いていた。

1年前の夏、別れてしまった人たちと案外また出会えることに喜びつつ、泊まり込みでイベントを乗りきった。

1年前の秋、少数の人たちとともに夜の口まで残って語らい合った。ここで開かれていた会合が1つ、なくなった。

今年にかけての冬、どんどんと減っていくメンバーに切なさを覚えたが、最早私は前に進むしかなかった。

春、ここには殆ど、数えられる程のメンバーしか来なくなった。

 

そして今、私だけではないはずなのに、私しかいない。

プログラミングされたロボットのように、ここにやって来てはボードの日付を更新し、生活環境を整え、アイドル曲を流す。

 

後半年、私はここでどんな経験をするのだろう。